直近5年、アクセプトされた論文があると答えた医師は何割?/医師1,000人アンケート

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/10/07

 

 オンラインジャーナルやオープンアクセスジャーナルの普及に加え、生成AIを活用した検索や翻訳・要約も広まりつつあり、論文の閲覧・執筆を取り巻く状況が大きく変化している。今回CareNet.comでは会員医師約1,000人を対象に、論文閲覧・執筆の最近の状況についてアンケートを実施した(2025年8月26~27日実施)。

論文検索の手段、PubMed以外で多かったのは

 興味のある論文を見つけるための主な手段について、76.5%の医師がPubMedと回答し、医中誌(39.1%)、ケアネット・m3・日経メディカルなどの論文紹介記事(38.4%)、所属する学会の学会誌(19.6%)などが続いた。

 年代別にみると、PubMedとの回答が最も多いのは共通していたが、20~50代では75%以上を占めたのに対し、60代では59.0%と若干低い傾向がみられた。一方、ケアネット・m3・日経メディカルなどの論文紹介記事との回答は20~50代では40%以下だったのに対し、60代では51.2%であった。そのほか、XなどのSNSからの情報との回答は全体で4.0%と低いものの、20~30代では10.9%と他世代と比較して高かった。

ひと月に読む平均論文数は、アブスト・本文ともに1~5本との回答が最多

 アブストラクトのみおよび本文全体について、平均して月何本の論文を読むか聞いた質問では、ともに1~5本との回答が最も多く、アブストラクトのみ1~5本は49.6%、本文全体を1~5本は28.6%であった。

 年代別、所属する施設の病床数別にみた結果に大きな差はみられなかったが、月に本文全体を6本以上読むと回答した医師は、200床以上の医療機関に勤務する医師で多い傾向がみられた(12.1%)。

 論文を読む主な目的としては、専門領域の情報収集が79.2%と最も多く、他科領域の情報収集(25.7%)、論文執筆・学会発表・講演準備のため(24.4%)、個人的な興味関心(18.5%)が続いた。

直近5年、筆頭著者としてアクセプトされた論文がある医師は約4割

 直近5年に“筆頭著者”としてアクセプトされた論文の本数は、1~3本(29.2%)、4~6本(5.2%)、7~10本(2.2%)、11本以上(1.7%)と続き、総計すると1本以上との回答は38.3%であった。同じく直近5年に“責任著者”としてアクセプトされた論文の本数は、1~3本(5.5%)、4~6本(1.9%)、7~10本(0.8%)、11本以上(1.7%)と続き、総計すると1本以上との回答は9.9%であった。

 年代別にみると、“筆頭著者”としてアクセプトされた論文数が1本以上あると回答した割合は年代が高くなるにつれ減少し、20~30代(51.3%)、40代(49.4%)、50代(34.0%)、60代(20.1%)であった。一方“責任著者”としての論文数が1本以上あると回答した割合は50代で最も高く(13.9%)、60代・40代(9.0%)、20~30代(7.0%)であった。

 病床数別にみると、“筆頭著者”および“責任著者”としてアクセプトされた論文数が1本以上あると回答した割合は200床以上の施設に勤務する医師で最も高く、それぞれ48.2%、14.6%であった。自由回答で最近の変化を聞いた質問では、「医局を離れて縁がなくなった(60代、消化器内科)」、「倫理委員会を求められるので、大学などの組織にいないと研究の論文が出せない傾向について、是正したくない人たちも多いことを感じる(60代、小児科)」といった意見が寄せられ、所属施設による影響もうかがわれた。

 医学論文を執筆・投稿する主な目的について聞いた質問では、専門医や指導医、学位などの取得・更新のためが最も多く38.5%を占めた。次に多かったのは医学論文を執筆・投稿することはない(34.5%)で、この回答を年代別にみると、60代で最も多く49.6%、50代(35.6%)、40代(28.6%)、20~30代(23.5%)であった。

 このほか、診療科別にみた論文閲覧状況、自由回答で聞いた最近感じている変化など、アンケート結果の詳細は以下のページにて公開している。
『医師の論文閲覧&執筆状況』

(ケアネット 遊佐 なつみ)